おじさん、おばさんはマイルドヤンキー化に注意。ゆとり世代はむしろ希望。
先日、これからスタートする新しいプロジェクトの準備も兼ねて、大学生と若手の社会人とディスカッションをしました。
結論から言うと、新しい発見と学びの連続。
内容は、「自分の故郷(地方)の課題は何か?」「どういう場所なら、帰りたいのか?」「自分にどんなことができるのか?」みたいなことを中心としたブレストでした。
特に私の中に今でもビーンと響いて鳴り止まない(今でも考えている)キーワードが2つ。
1つ目は、「ヤンキー」。
使われていた文脈はこんな感じです。
「大学で東京に出てきて、自分の地方とは違う環境の中でいろいろと新しいことも学んだし、高校生の頃から比べると成長した。自分の故郷に課題があって、自分がその解決に関われるなら、やってみたいと思う。でも、一方でずっと同じところに住んでいる友だちには、その課題が見えていない。親世代も似ている。むしろ、変化や成長みたいなことを嫌がる傾向がある。そういうヤンキー気質そのものを変える必要があると思うけれど、きっかけが難しい気がする。ヤンキー気質の中では、生活するのは大変だと思う。」
その後、「ヤンキー」という言葉が使われて、議論は進みました。
(私、心の中で) 「ヤンキー?あのコンビニの前でたむろっている若者?マフラー改造している車乗ってる人たち?そんなアウトローな人ばっかりってこと???」
・・・・・
後でわかりました。
ヤンキーとは、「マイルド(ソフト)ヤンキー」のことだと。
細かい定義はいろいろあるようですが、「仲間が大事。変化を好まない。外の世界や新しい価値観に興味がない人たち」という意味で使われていました。
同年代だけでなく、親世代も含む感じです。
参考まで。
2つ目のキーワードは「ゆとり世代」。
今回集まったメンバーは全員がその世代です。
ディスカッションの中で、私が「自分が大学生の頃は、楽しさが大事で、お金と時間は自分に向かっていたと思う。でも、みんなは貴重な土曜日に、友だちに声までかけてくれて、何故このミーティングに来てくれたのか?」という疑問を投げかけたのでした。
集まった日はお天気のいい土曜日の午後。終わったのは夜の10時。貴重な休日を使って来てくれたことが有り難かったし、私が彼らの年代の頃だったら、バイトでもないし、社会問題にそこまで関心があるわけじゃないし、きっと来ないと思ったからです。
そう言えば、少し前に私がふとしたきっかけで参加したNGOのボランティアも、10代、20代の1人で「初めて参加します」という若者メイン。それも、結構、おしゃれで絶対に彼・彼女がいそうな若者が休日を使って来ていて、説明に熱心に耳を傾け、質問もしたり。与えられた作業にも一生懸命に取り組んでいましたっけ。
そして、もらった意見がこんな感じ。
「自分たちは、いわゆる’ゆとり世代’と言われる年代なんです。学校の先生や年上の人から、失われた20年でかわいそうとか言われることがあるのですが、自分たちには正直’自分が不幸だ’とかいう実感が無いんです。社会の課題をどう解決するか?自分がどう関われるか?みたいなことに結構関心がある人が多いのも特徴かもしれません。そういう意味で、’心にゆとりがある世代’じゃないかなと思っているんですよね」
なるほどね…。
私にはとってもリアルにその説明が理解できましたよ。
会社で、新人研修を担当していた時、「ゆとり世代を一人前の社会人にしなければ」と思っていた時には、終わった後にモヤモヤした徒労感が残ったけれど、「ありのままの彼ら」を受け入れようと自分が変わったら、彼らから学ぶことが劇的に増えて、若い世代にしか出来ない発想力や行動力を発揮してくれるようになったことを実感したことがありました。
逆に、社会人経験が長く、上の年代の人たちは、自分たちの仕事の進め方がスタンダードだと信じて疑わない人も多く、内向きであまり変わろうとしない、勉強しないみたいな人が沢山いたような気がします。休みになるとゴルフに行って、同じ会社とか同じ層の人と集って、社会の問題は批判はするけど行動しない。お金はそこそこあるのに、主に自分のために使うみたいな。
あれ?これって、マイルドヤンキーの特徴とかぶりませんか?
ゆとり世代を哀れんだり、笑ったりしている場合ではありません。 年齢や経験が少ないからと言って、「教えるべき存在」とは限りません。
自分は大丈夫と思っていませんか?もしかしたら、もうヤンキー化が進んでいるかもしれませんよ。
コトーさんのこと、もっと知りたい!と思いました。
みんなde読書大学。
6月のテーマは「身体・カラダ」。
ゲストは、カラダや健康のプロである古藤格啓(コトー)さんです。
出所:TOKYO SEITAILIFE
先日、コトーさんと打ち合わせをしました。
そして、ご自身のブログを「是非、参加予定や興味のある皆さんへ読んでいただきたい」とご紹介いただきました。
正直…初めて知ることばかりで…、読んで驚きました。
なぜなら、私の知っているコトーさんは、
カッコよくて、
その場の空気を変えるほどのパワー溢れるエネルギーがあって、
同業・異業の方からその知識や生き方をリスペクトされていて、
引き込まれるように話が上手で、
プロレスや音楽などにも詳しくて…
プラスのオーラを発している方だからです。会ったらわかります!
それが、かつては、
重度のアレルギーがあって、
アトピーによって苦しんで、
性格や生き方に死にたいと思うほど悩んで…
そんなこと、全く想像できなかった。
読んだ後、純粋に「スゴイ!」と思いました。
そして、「身体の状態が、心や生き方に大きく影響を与える」と言うことについて、もっと知りたいと思いました。
今回のみんなde読書大学。
企画している私たちですら、想像がつかない、面白いことになりそうです。
1人で参加される方が殆どですので、初めての方もどうぞ遠慮なくご参加ください。
多分、誰も食べたことのないような、超変わり者(ご本人談)の職人さんが作るスペシャルな食材もご用意していますので、お楽しみに。
春キャベツの季節。「沼サン」を作ってみました。
今、Instagramを始め、SNSでいま、あるサンドイッチが大ブームになっているのをご存知でしょうか?
「沼サン」とは、陶芸家・大沼道行さんの奥様・ゆきさんがinstagramに投稿しているサンドイッチの名前。
このサンドイッチを「沼サン」と名付けて投稿したところ、瞬く間に広まって、本も出ているとか。
先日、「ワインを飲みながら、知を探求する」という会があり、その場でこの本を紹介いただいて知りました。
このサンドイッチの特徴は、トーストした6枚切りの食パンに千切りキャベツというのが基本形です。
今はちょうど春キャベツの美味しい季節ですものね。
あとは、本当に組み合わせ自由です。本を見せていただいたところ「えー!」と驚くようなものまで挟まっていまして、これはいろいろと実験する甲斐がありそうです。
あまり考えず家にあったもので、とにかくやってみようと思いました。
まずは、基本のキャベツの千切り。マヨネーズで軽く和えます。
それから、具材としては、
・長ネギのオムレツ ・シャウエッセン
・ローストポーク ・きゅうり
・トマト ・新玉ねぎ
・ポテトサラダ ・ザーサイなど
ザーサイはこの後みじん切りにしました。
今回は1人2種類くらい食べたかったので、パンは8枚切りにしました。
まず、初めにパンをトーストします。
それから、バターを塗って、本家の沼サンは片面にチーズですが、今回はチーズを買い忘れましたので省略。
そして、山盛りのキャベツに、ローストポーク、オムレツ、ザーサイです。
ザーサイが入るとピクルスの代わりにもなり、一味違いますね。ちょっと中華風でもあります。
2つ目は、
ポテトサラダ、スライスオニオンと薄切りのきゅうり。
オニオンときゅうりは、ピエトロのドレッシングでちょっと和えました。オリーブも本当は入れると良いのですが、家に無くて。でも、ピエトロのドレッシング入っていたので、ラッキーでした。
切るとこんな感じ。
飲みのもは、Cafe gitaのアイス・カフェオレ。これ、最高の組み合わせでした。
たかが、サンドイッチ。でも、シリーズ化して探求していくと、一つの優秀なコンテンツになるものですね。 オンラインだけで無く、オフラインでも、いろいろな方から面白い情報を頂けることに感謝です。
春キャベツの季節のうちに、もっともっとレパートリーを増やしていけたらいいなと思います。
元上司と陶芸…Part2 続き。
前回は、元上司の陶芸家のW氏のところで、元同僚Mさん、Sさんと3人で形を作るところまでやりました。
今日はさらに元同僚のCさんが加わって、生徒は4人。
前回参加の3人は作品の素焼きが終わって絵付け、Cさんは土から素焼き前までの工程で、お皿を作ることになりました。
まず、私の希望は「沖縄のやちむんのマカイ」のイメージと伝えてあったのですが、念のため、私がスマホでイメージと見せると…。
「カイトさん、普通じゃつまらないだろうから、これかなっていう見本を用意しておいたよ」と、Wさんがイメージとなる見本の写真を用意してくれていました。
それが、これ(右下)。
私(心の声):え、かなり渋いな。色はそんな感じだけど…。
Wさん:丸とか簡単なのじゃなくて、こういう偶然を大胆に楽しむみたいなのが、品もあるでしょ。カイトさんに合ってると思うんだよね。
私(心の声):まあ、確かに私って、行き当たりばったりとか嫌いじゃないし、まあ、渋いけど、品と言われれば…そうなんだろうし…。
私(声を出して):そうですか。私をよくご存知のプロが言うならそうしてみます。
ということで、まずは透明な釉薬を器具を使って息で吹き付けるという方法で満遍なくつけます。
Wさん:肺活量ある?
私:いえ、私、こう見えても、小児喘息だったし、肺活量の検査はいつも何回もやらされるんです。少なすぎるって…。だから…
Wさん:あー、そう。じゃやってみて。
私:聞いてます?だから、肺活量は少ないんですよ!
Wさん:はい、これで、やってみて。
フーフーと、一生懸命に吹き付けました。 それが、これ。
なかなかではないでしょうか。ブツブツ言いながらも、やるタイプです(笑)。
次に3色の釉薬を1色ずつスポイトに入れて、濃さと垂れ具合をみます。
私:見本の写真みたいに、ジュワーっとボカすのって、どうしたらいいんでしょうね。なかなか垂れ方が難しくて…。
Wさん:あ、この見本を再現するのは無理だからさ…。だって、これ人間国宝の作品だし、ははは(笑顔)
私:は?人間国宝?ハナから無理じゃないですか?早く言ってくださいよ〜。
Wさん:まあ、カイトさんの感性で、考えてやってみてよ。
私(心の声):エー!
見込まれているのか、何なのか、とにかく3色やってみました。
あー、もうどんなのが出来るのでしょう?
一体、どうしろって…
内側にもダラーっと行っちゃうし…、あーどうしよ…。
Cさんが持ってきた「あんこ玉」を食べて、休憩しながら、機嫌をとり直して、なんとか仕上げました。
陶芸って、奥が深いな〜。今後も季節に1個くらいのペースで何かを作っていきたいと思います。
マダム・ジュジュの思い出(営業ではありません)
今、若者の間で、これだけ塗りというのが流行っていて、高校生の間では、NIVEAパックをやって寝る子が多いのだとか。
「25才はお肌の曲がり角」というコピー。歴史を感じるこのコピーで、一世を風靡したマダム・ジュジュ。
すっかり忘れていましたが、NAVERでまとめられる程に、また見直されているみたいですね。
「マダム・ジュジュ」ときくと、思い出すのが私の祖母です。
自分の子供4人、お嫁に行ってない弟や妹、住み込みの人やらの3世帯同居プラス・アルファの大家族を経済的に支えていた私の両親は共働き。
当然のことながら、家事全般は祖母が担当していました。
大家族の3度のご飯と常時3人分のお弁当作りを毎日やってくれていたので、今となっては本当にすごいな…と尊敬しています。
彩りのない茶系でまとめられたお弁当、おにぎりの具は梅干し以外はありえないという方針に、思春期の私なりに複雑な思いはありつつも、本当にいつも美味しいので、感謝していました。
ただ、そんな働き者でお料理上手の祖母がやってしまった失敗がありました。
中学のお昼休み。お腹ペコペコで、「いっただっきまーす!」とかぶりついたおにぎり。 次の瞬間、思わず「オエッ…」となっちゃったのです。 口の中がもう化粧臭いイヤーな香りに包まれて…、もう食べられません。
当時は、恥ずかしさもあり、友人に事情も話せずに、お腹が空くやら、悲しいやらで、もう相当に落ち込みました。
そうなんです。祖母は朝のルーチンを間違えて、マダム・ジュジュを顔に塗った手でおにぎりを握っちゃったらしいのです。 しかも、姉と兄のおにぎりを握って、しばらくして、私の分が足りないことに気づいて、再度握ったらしいので、被害者は私1人。
祖母も悪気はないので、「あら、そうだった?それはごめんね〜」というあっけらかんとした態度に、他の家族の大爆笑。誰にも理解してもらえないことに、言い知れない寂しさを感じました。
だから、今でも「マダム・ジュジュ」って聞くと、悲しい記憶が蘇ってくるのでした。
幾つになっても、美容に気をつかっていた、お洒落なおばあちゃんの懐かしい味…。
なんて、いいものじゃ全くありません(笑)。あの感覚は、私に強烈な印象を残しました。
自分でおにぎりを作る時には、手をよく洗った上に、絶対にラップで必ず握るように気をつけているのは、きっとこの体験があったから…。
皆さんも、握る前にはくれぐれもご注意くださいね。
マダム・ジュジュさん、発売65周年おめでとうございます。 あなたには何の非もありません。
ご報告・みんなde読書大学(4月)を開催しました!
4月6日に「みんなde読書大学」が開講しました。 今日はその様子をご報告します。
初めに、ナビゲーターの原尻淳一さんから、全体の進め方や読書大学の目的などについてお話しがありました。
原尻さんは、音楽業界を中心にアーティストのマーケティングなどを担当しながら、大学の先生でもあり、企業での研修などもされているだけあって、話に厚みがあって、面白いんです。
続いて、ゲスト講師の家子さんからのお話。彼女は動画ディレクターなので、今回の課題本は、やはりコンテンツ、クリエイターがキーワード。 コンテンツ業界ではアマチュアだった、ドワンゴの川上量生さんがジブリの見習いとして、何を見て、何を学んだか?という視点で、家子さんが読み取ったことをお話してくださいました。
原尻さんから、KJ法の説明があって、みんなでポストイットに自分のキーワードを書いていきます。
ちなみに、KJ法ってよく研修などで使われますが、文化人類学者の川喜田二郎先生(東京工業大学名誉教授)がデータをまとめるために考案した手法です。KJは考案者のイニシャルから来てたって、知ってましたか?
そして、グループに分かれて「コンテンツって?クリエイターって?どういうことか」ということについて、本から読み取れることを出し合いました。 それから、「じゃあ、良いコンテンツってなんだろう?良いクリエイターって?」と進んで行く頃に。
ナビ:「はーい、皆さん、そろそろお腹も空きましたね〜。ワインと食事取りながらにしますか〜?」
一同:「わーい」「わーい」
ということで、ワインと食事がスタート。
実は会場には、キッチンが併設されていまして、ワークを始めた頃から、美味しそうな香りが漂っていたと思います。 (皆さん、お腹ペコペコなのに、スミマセン!)
この日のワインはジブリのイメージで、フランスとイタリアの「自然派ワイン」をチョイス。
メニューは、さやかシェフが考えたオリジナルの「ジブリ飯」です。
それぞれのメニューがジブリの作品にちなんでいるのですが、お分かりになりますでしょうか?
「おいおい、合コンと間違えるなよっ」という、ツッコミで一同、爆笑。 ワインとご飯が加わると、ディスカッションの熱も上がります。
最後に「じゃあ、自分たちの仕事に置き換えたら、どうなんだ?」ということで、各グループからの熱のこもった発表がありました。
参加者は、会社員もいれば、分野の違うクリエイターもいれば、学校の先生とか、自分で会社やっている人とか…。
普段の自分の生活範囲だけにいたら、なかなか出会わないかもしれない人たち。
仮に出会ったとしても、こんなに一つのテーマで話す機会はまず無いでしょうね。
だからこそ、1冊の本で、この場に集まることに意味があるのかなと思っています。
受講者の写真家の方からは、ご自身の経験をコンテンツとクリエイターという視点で発表いただき、どこにフォーカスするか?という話がとても面白かったです。
若手の会社員の方。別分野の本から、短い時間の中で、そこまで学んだか〜と驚く位に、それぞれの見方で発表されていました。
発表をきく側にも学びがありました。
デザートも勿論、ジブリ。
一人ひとり、何かを持って帰っていただけたら、とっても嬉しいです。
参加された方には、後日『まとめ』を形にしたものをお送りする予定ですので、お待ちくださいね。
みんなde読書大学は、本と人との出会いの場。上野へのプチ旅。皆さんも、いかがでしょうか?
次回の開催は、5月13日です。
詳細はこちらでご覧ください。
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受講にあたっては、必ず事前に課題図書をお読みいただき、当日も本をお持ちください。
■日時・場所:5月13日(金)19:00〜21:30(open 18:45)@いいオフィス
■課題図書:
『今日が、人生最後の日だったら。』(千田琢哉 / 学研マーケティング )
■参加費用|4,500円/ 回(読書会、ワイン、食事代込)
■持ち物|課題図書
■会場|いいオフィス
■定員|各回定員30名 ※先着順です
※どなたでもご参加いただけます。
※キャンセル規定:各回開催1週間前以降のキャンセルは一切受け付けておりません。ご了承ください。
※ワインを飲めない方用の飲み物も用意します
■申込方法| Facebook または メール
・Facebook:
・メール:お名前、人数などを教えてください
E-mail: readingcircle2016@gmail.com
【ゲスト講師紹介】
新井玲央奈 |Reona ARAI
弁護士/プロコーチ/セミナー主催者 1981年生まれ。同志社大学卒。京都府在住。
勉強も部活も成果が出なかった落ちこぼれから一念発起し2006年に司法試験に合格するが、人生の目的を見失う。その後、本とメンターからの教えで、「意識と努力で人生は好転する!というメッセージを多くの人に伝えること」が人生の目的だと発見。 人生の目的に従い、約2年半で70回以上のセミナー・講演を開催、2015年1月に独立、同年2月から開始したコーチ業では15名以上のクライアントを抱え、延べ830人以上と対話を続けてきた。”生涯で100冊”を目標に、出版も目指している。
HP:http://reo7.araioffice.jp.net/personal/
Blog:http://happylifer.hatenablog.com/
【ナビゲーター紹介】
原尻淳一|Junichi HARAJIRI Harajiri Marketing Design 代表取締役 龍谷大学経済学部 客員教授
1972年埼玉県生まれ。大手広告代理店入社後、 エイベックスグループに転職。多くのアーティストのマーケティング、映画の宣伝戦略、アニメ の事業計画立案を行なう。現在はレコード会社、芸能プロダクション、飲料メーカーや広告代理店のコンサルタントを行っている。また、京都市ポータルアプリをプロデュースし、世界の京都ファンづくりにも取り組んでいる。さらに大学教授として実践的なマーケティングの講義とワークを学生たちに展開している。 著書に『IDEA HACKS!』等、東洋経済ハックシリーズ。近著では『企画のつくり方』(日経文庫)がある。 慶應義塾大学メディアデザイン研究所リサーチャー。日経ビジネススクール講師。 厚生労働省パワーハラスメント対策企画委員等も兼任している。
【お問合せ先】
みんなde読書大学 事務局
担当:カイト 、富田、さやか(丹羽)
E-mail: readingcircle2016@gmail.com
元上司と陶芸をしながら、思う。
元上司のWさん。定年を待たずに、会社を退職され、人事部長から、今は「陶芸」の道へと転身されています。
「カイトさんの独立のお祝いに器を作ったから取りにおいで」と連絡を頂いたので、お邪魔するついでに、元同僚の先輩・後輩を誘って、アトリエで器を作らせていただきました。
Wさん:「皆さんはどんなものが作りたいのかな?」
後輩:「どんぶり!」
先輩:「抹茶の茶碗!」
私:「沖縄のマカイ風のご飯茶碗!」
Wさん:「あー、うーん…。まあ、やってみるか(笑)」
一応、それぞれがイメージを持ちながら、スタートしました。
今回は初心者ということもあり、基本の手びねり(ろくろではなく、紐状の土を重ねる方法)で作ることになりました。
土台を置いて、土がつくように刻みをつけ、ドベ(泥状の土)を塗ります。
紐を作ります。弓状にして、向こう側に押すようにすると均一の紐が出来ます。
それを土台の上に巻いていき、内側、外側をつなげながら、器を作っていきます。
それを3回位繰り返して、何となく器っぽくなってきました。
内側の厚みを手で均しましたが、口のところは不揃いです。
道具を使って、口の高さを一定にしました。
スポンジを使って内と外を挟んで、ろくろを手で回しながら、少しずつ形を整えます。縁は鹿革を使います。 ちょっと、それらしくなってきたところで・・・。
日の光りが程よく入るアトリエでのコーヒーブレイク。Wさんお手製のコーヒーカップで頂きました。
「はい、はい。まだ終わりじゃないよ」ということで、高台を作ります。
「はい、今日のところはここまでね」というところで、出来ました。「丼〜!」
「ん?ど・ん・ぶ・・・り?」 私は確か「ご飯茶碗」を作るつもりはずだったのに・・・(笑)。
先輩の抹茶碗は、そう見えなくないけど、ご飯茶碗のようでもあり・・・。
後輩の丼は、持ち手を付けて、いつの間にかコーヒーのマグカップに変化していました(笑)。
ちなみに、神の手が入って、ここまでの仕上がりになったということは正直に申告しておきます。
陶芸の世界はそんなに簡単なものでは無かったわけですが、それぞれに皆、楽しんでいました。 この後は、神にお任せで仕上げをお願いするかと思いきや、「この際、絵付けもやりたい!」という意見多数のため、また次回お邪魔することになりました。
ご一緒した、Wさんの本物の生徒さんから「Wさんは、こんなに楽しくて可愛い(と、おっしゃっていたようなw)女性たちに囲まれて、お仕事なさっていたのですね。羨ましい・・・」などとお声がけいただき、Wさんもちょっと嬉しそうに見えました。
以前、一緒に仕事をしていた頃・・・。
私は、(自分で言うのも何ですが)決して、いつも従順な部下だったという訳ではなく、志があればこそ、時に反抗した事もありました。
人事部長という立場上、Wさんは、たくさんの人と関わって、時に自分の本心とは違う厳しいことを社員に言わなくてはならない場面もあったと思います。 どちらかと言うと、ぶっきら棒な上司。でも、ご本人は表立っては言わなかったけれど、体調を壊したり、壁にぶつかっている社員を影で支えていた事を、知っている人は知っていました。
採用のための適性検査を、当時の人事全員で受けたところ。Wさんの結果が、
「人と接する仕事よりも、技術者のように自分の世界に入って、専門性を極めるような仕事に適性有り」
という内容だったので、ご本人を含めた一同「当たってる」と思わず頷いた・・・というエピソードもありました。
その後、直属の上司でなくなってから・・・。
不思議なことに、心を許して、弱音や愚痴を言える相手でもありました。
私自身が少し大人になって、あの頃のWさんの葛藤や立場をやっと想像できるようになったからか・・・。 「部下が、本音で仕事できる環境」というのが、実は得難く、恵まれていたことが、後になってわかりました。
今思えば、それぞれの立場で、本気で「会社をもっとよくしたい」という気持ちを持つ同志だったのかもしれません。
今日、久しぶりにお会いしたWさんは、とても自然体で、魂が自由でした。
ちょっとぶっきら棒なのは、相変わらずですが、それでいいのです。
だって、陶芸家だし。
(あの時の適性検査は、やっぱり当たっていたのかもしれません。)
そもそも、メディア業界の経験が全くない未知数の私を、採用してくださったのがWさんでした。 「志の高さと情熱に賭けてみたよ」と、入社して、しばらくしてから、ボソっと教えてもらった気がします。
そうか・・・今、こうして私があるのはWさんのおかげ・・・。その節は、生意気言って、本当に申し訳ありませんでした。
こんな立派な器を頂いたのですから、これからの人生、頑張ろうと思いました。