カイトチカの日記

Life Solution Energyとして、エナジャイズする記事をお届けします

約30年振りの反省

学生の時、フランスに留学した経験があります。住んでいたのは南フランスのモンペリエという大学都市の中にある寮でした。

長い休みの間、寮の友人達が実家に帰るのに便乗して、ホテル代を浮かして、ヨーロッパを1人で廻ったことがあります。

その時は、イングランドから、ベルギーを通って、ドイツ、オーストリアと行ったと思います。

オーストリアでは、リンツに実家があるミカエルを訪ねました。

当時のミカエルは20歳そこそこの法学部の学生。 友人に「全然洗濯してない!」と言われるほどのクタクタのジーンズを履いて、いかにもお金のない学生という風貌。でも、明るい性格で友達も多く、日本人と話すなんて初めてだよ!ということで、ひょんなことから友達になってもらったおかげで、知り合いも増えて、楽しい学生生活を送れていました。 そういう意味では、友人であり恩人という存在でした。

リンツの実家に行ってみて、彼の家族がとてもインテリで、実業界でも結構有名なお家の出身ということがわかりました。(本当に人は見かけでわからないものです) お母さんは美術商としても有名な方で、「オーストリアにきたら、ウィーンに行かなきゃダメよ」ということで、ミカエルに連れられて、ウィーンに行くことになりました。

ウィーンは、建物や美術館、例えば街のカフェや居酒屋まで、歴史的なエピソードが満載の街でした。 そして、彼は行く先々で、その歴史背景やロマネスク、ゴシック、バロック…などなど美術や建築の様式などの説明を親切にしてくれたのですが。

一方の私は、「ケルン大聖堂の写真が出たら、答えはゴシック!」みたいな、教科書丸覚えのテスト対策的な知識しかなく。情けないやら、恥ずかしいやら、疲れたやらで、彼の説明もいつしか耳に入らなくなっていたのでした。 私から、笑顔が段々消えて行くのを察知したのか、一日の終わりに「じゃあ、質問形式にするね。あの建物の様式は?」と工夫してくれたのにもかかわらず、ほぼ3択位の質問を私がことごとく外し…。

「君は僕の説明に何にも興味が無かった訳?こんなに1日中、丁寧に説明したのに…」と怒り出しました。

私も売り言葉に買い言葉で、「そんなに全部が簡単にわかる訳ないでしょ!!!」みたいに切れ返し…。

そのまま、ウィーンからの電車に乗り、リンツに着くまでの間、私たちは向かい合わせで座ったものの、ずーっと沈黙で、険悪な空気が流れていたのでした。

怒りながらも内心、「勉強不足の自分に腹が立っていただけで、わからなければ、もっと質問すればよかったなあ…。せっかく親切に説明してくれたのに、悪かったなあ。」と考えていました。

向こうは向こうで、反省した様子で、リンツの駅を降りる時には、顔を見合わせて、2人とも笑ってしまったのでした。

あれから月日が経ち。でも、ずっと思っていたことがあります。 自分は自分を取り巻く世界の歴史や文化のことを、それなりに系統立てて理解しているだろうか? 例えば、外国から来た友人に彼がしてくれたのを同じようなレベルで、日本のことを説明できるだろうか…と。

大学卒業後、航空会社に勤めて、実際に相手の国のことを理解し、自分の国のことを説明するという場面も何度となくありました。多分、あの学生時代のオーストリアでの体験が活きた部分は大きかったと思います。

昨日、ブリヂストン美術館の売店で、この「すぐわかる 西洋の美術」という本を見つけました。 内容的に、私が知りたいことを網羅しているので、迷わずい買いました。 あの時から、もう一度、ちゃんと学び直さなくてはという気持ちはあったのです。

もう、30年近くも経ってしまったのですが、この本で勉強することにします。

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次に彼に連絡を取る機会があれば、この思い出話と共に、反省の気持ちを伝えようと思います。