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カイトチカの日記

Life Solution Energyとして、エナジャイズする記事をお届けします

【レポート】シャブリ・ロワールワインセミナー0223

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2016年2月23日(月)に帝国ホテルで行われた「シャブリ・ロワール ワインセミナー」についてのレポートです。

今回のセミナーでは、3つのドメーヌ(畑を所有し、栽培醸造・瓶詰を一貫して行うワイン生産者)についての紹介とワインテイスティングでした。

【感想】

ロワールには、早くからビオ(自然農法や有機農法など)に取り組んでいるつくり手が多いことは認識していました。今回はシャブリのつくり手も含めて、3つのドメーヌが土地や果実が本来持っている魅力をどうやったら最大限に引き出せるのか?について、真摯に考えているということが伝わって来ました。ビオと一口に言っても、本気でやろうと思ったら、手間も時間もかかります。また、現在の醸造責任者は何代目としての伝統も引き継ぎながら、新しい試みを沢山行っていて、実際にテイスティングしてみると、一般的なロワールワインの印象を変える位に、テロワール(場所」、「気候」、「土壌」など、ぶどうを取り巻くすべての自然環境のそれぞれの特徴のこと)をよく表し、骨格のしっかりしたワインばかりでした。

ブルゴーニュ地方に入るシャブリ地区がキンメリジャン土壌(ジュラ紀の土壌で、粘土質と小石と砂が混ざった石灰質が交互に層を成し、その中に無数の貝殻を含んでいる)であることはよく知られていますが、ロワールのソーミュール地区位までが、同じキンメリジャン土壌であるということを知りました。そして、フランスのワインはやはりテロワールが重要であると改めて認識しました。

f:id:kaitochicap:20160224230934j:plainf:id:kaitochicap:20160224035727j:plain(キンメリジャンの一部)

また、ロワール河の河口、ミュスカデ地区に近い地域でピノ・ノワール栽培し、骨太なワインを作り出しているドメーヌ・サン・ニコラの偉大さを再認識しました。フィエフ・ヴァンデアンという地区をフランスのワイン法の一番上のカテゴリーA.O.Cに格上げできたのも、彼のたゆまぬ努力の結果であるということです。大西洋から直接吹く海風は、ブドウや土地に恵みをもたらす一方で、強い風にさらされた木は成長しても低いままで、剪定〜収穫までの作業には大変な労力が必要なはずです。それを、丁寧に行い、更に品種や出来具合を見ながら、細かく醸造の過程を変えていく現在の当主ティエリー・ミッション氏はまさにこの地区の評価を上げた立役者と言えます。とにかく、最高の水準のものを目指すという「愚直な姿勢」は、ワインだけでなく、全てのものづくりに通じるものがあると思いました。

最後に、私から3人の方に「守るべき伝統と、新しく変えていく部分があるとすればどういうことですか?」という質問をさせて頂きました。

共通しておっしゃっていたのは、現在はブドウ栽培からワインの醸造に至まで、いろいろな技術の進歩があり、便利なものも生まれてきたけれども、効率性に囚われずに「30年、40年前のより自然に近い、本来のあるべき姿」を考えて、愚直につくることだ、とおっしゃっていました。

ティエリー・ミッションさんが醸造学校に通っていたころは「農薬や化学肥料を使って、収穫を安定させること」が大切だということが言われていたそうです。当時はそれが正当とされていた。でも、ティエリーさんは、心のどこかに違和感を感じていて、「自分の目指すところな何か?を考え、もっと違うやり方をしてみよう」と努力されたそうです。

自分の生き方、仕事のやり方に「軸」を持つことは必要だということを、ワインを通じて、また気づかされました。

今回のセミナーの定員が20名で、その倍の方がウェイティングをされていたと聞きました。 その場に参加出来たことは、たいへん光栄でした。

また、今回、別室で行われていたその他のワインのテイスティングも新しい気づきや学びが沢山ありました。木下トレーディング(株)の市原さんには、ポルトガルのマデイラについて、とても丁寧にご説明いただき、フォーティファイドワイン(酒精強化酒)についての理解も深まりました。今回の機会をくださった和田真幸さんをはじめ、このセミナーの関係者の皆さまに改めて感謝申し上げます。

【セミナー概要】

1. (Chablis)Domaine Jean Collet (シャブリ)ドメーヌ・ジャン・コレ

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シャブリに1792年より代々伝わるワイン造りの家系。現在のコレ社はマリウス・コレとその妻アグネス・ピノにより設立され、マリウスの息子ジャンが1952年からワイン造りに携わる。 ジャンは1954年にそれまでワイン商に売っていたワインを自社でボトリングを開始し、ドメーヌとして自立。

1959年よりアメリカ合衆国への輸出を開始。 1979年、マリウスから3代目の現当主ジルが加わり現在のドメーヌ ジャン・コレ社となった。代々大切に受け継がれてきた最高の畑から豊かなミネラルを感じるシャブリらしいシャブリを造り続けるドメーヌ。 ジルは伝統的なワイン造りを残しつつ、ビオロジー栽培にも挑戦している。現在は息子のロマンが醸造長を務める。 ロマンは、フランス各地やニュージランドなどで修行を積み、新しい醸造過程へのチャレンジや20年近いビオの経験を基に、土壌を大切にし、より望ましいあり方を考える作り手。

2. (Loire)Domaine Pellé (ロワール)ドメーヌ・ペレ

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サンセロワとはロワール川上流、サンセールとその周辺地区を示す。メヌトゥー・サロンは1954年にAOC認定を受けた比較的新しいアペラシオン。現在ではサンセールと並び称される実力を持ったワイン産地として知られる。 メヌトゥー・サロンは2地区に分かれる。西側に位置するメヌトゥー村は比較的平坦な粘土土壌で、東側のモローグ村は標高が高く畑の傾斜が強く表土の薄い石灰粘土質(キメリジャン)の土壌。メヌトゥー・サロン全体のワインの質は高く、特にモローグの味わいは注目されている。 ドメーヌ ペレはモローグ村にあり、メヌトゥー・サロン、サンセール、プイィ・フュメに合わせて42haの畑を所有するドメーヌ。ドメーヌは20世紀初頭にワイン造りを始め、3代目のアンリ・ペレの時代に成長した。現在、アンリの孫にあたりブルゴーニュのドメーヌで修業したポール・アンリがこのドメーヌを引き継ぎ、歴史あるドメーヌは新たな時代に入った。 現在、モローグ村のワインの基準となる味わいと評価されレヴュー・ド・ヴァン・ド・フランス誌やベタンヌ・ドゥソーヴでもメヌトゥー・サロンの代表格として取り扱われている。2006年のワイナート誌では既にサンセールのアルフォンス・メロやコタと同格の扱いを受ける数少ないメヌトゥー・サロンのドメーヌとして取り上げられている。

3. (Loire)Domaine Saint Nicolas (ロワール)ドメーヌ・サン・ニコラ

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ドメーヌ サンニコラはミュスカデの南、大西洋に面した緩やかな斜面を持つフィエフ・ヴァンデアン(もともとVDQSであった地区は、2011年からフィエフ・ヴァンディアン-ブレムAOCに昇格)に33haの葡萄園を持つ生産者。大西洋から吹き付ける烈風は防風林を陸側に曲げる程の凄まじい。葡萄の主幹が地中にあり、枝のみが地上に出ている。木の高さが低いため、膝をついて収穫する程。

当主ティエリー・ミッションは厳しい栽培条件下、果敢に葡萄栽培醸造に挑戦。クラスマン2004年にはこの地で飛び抜けた品質のワインを生産するドメーヌとして紹介されている。1993年からビオディナミを導入しヴァンデの個性を土地から表現することに努めている。 葡萄の剪定方法を変え、人力や馬で土を耕し、醸造設備を整え、弛まぬ努力の結果他のAOCワインを凌駕する評価を勝ち取った。クラスマン2006年度版から星付きで紹介されている。 現在、息子アントワンもドメーヌに参画し、これから更なる成長が期待出来るドメーヌ。

以上の3つのドメーヌについて、木下インターナショナル(株)のバイヤー館農俊則氏より、地図や写真を用いて紹介、続いて、各ドメーヌから、ロマン・コレ氏、ポール・アンリ・ペレ氏、ティエリー・ミション氏からの挨拶と説明がありました。

■ドメーヌ・サン・ニコラの畑がいかに他の違うのかがわかる動画です。風の強さ、木の低さ、土壌の様子などをご覧ください。

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ワインテイスティングは次の4種類。

1. (ドメーヌ・ジャン・コレ)Chablis Premier Cru Sécher シャブリ プルミエ・クリュ セシェ

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品種:シャルドネ100% 土壌:キンメリジャン 醸造・熟成:低い圧の果汁を発酵させ、オーク樽30%、ステンレスタンク70%をアッサンブラージュ、17ヶ月熟成。ノンフィルターでボトリング。

輝く麦わら色。フローラルとナッツのグリル香のバランスがとても良い。キレのある酸。フィニッシュはシャブリらしい塩味、ミネラルを感じることができる。骨太のシャブリの印象。

2.(ドメーヌ・ペレ)Menetou Salon Morogues Blanc Vignes de Ratier メヌトゥー・サロン モローグ ブラン ヴィーニュ・ドゥ・ラティエ

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品種:ソーヴィニヨン・ブラン100% 土壌:キンメリジャン 醸造・熟成:空圧式プレス機で圧搾。ステンレスと木樽で発酵。澱と一緒に木樽で6ヶ月熟成。

たっぷりとしたワインで胡椒のニュアンスとともに白い花の香りが感じられ、このワインに特徴的なミネラルの香り。爽やかな酸。

3.(ドメーヌ・ペレ)Menetou Salon Morogues Rouge Les Cris メヌトゥー・サロン モローグ ルージュ レ・クリ

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品種:ピノ・ノワール100% 土壌:キンメリジャン 醸造・熟成:木樽で3〜4ヶ月醸し発酵。フリーランとプレスのワインをアッサンブラージュ。400l樽7〜11ヶ月熟成

透明度の高いガーネット色。フレッシュな酸やミネラルも感じられる。軽やかな中にも旨味を感じさせる味わい。

4.(ドメーヌ・サン・ニコラ)Cuvée Jacques Rouge キュヴェ・ジャック ルージュ

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品種:ピノ・ノワール100% 土壌:乾燥したclay and schist 醸造・熟成:完熟の果実を手摘み、開放層で自生酵母で発酵。2ヶ月の醸し。400l樽で15ヶ月熟成。大樽3ヶ月熟成。

見た目の透明度に反して、チェリーやプルーンを煮詰めたような濃厚なフルーツの香り。果実味、タンニン、酸味が高い次元でバランス、密度の高い味わいを生み出している。後味に心地よい塩味あり。