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カイトチカの日記

Life Solution Energyとして、エナジャイズする記事をお届けします

「ありのままの姿」の大切さ。やちむんの魅力。

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有楽町のMUJIにて、沖縄・読谷山焼北窯の松田米司(まつだ・よねし)親方と、映画『あめつちの日々』の監督・川瀬美香さんのトークショーに行ってきました。

川瀬さんとは、今から約10年前に仕事を通じて知り合って以来、様々なインスピレーションをくれる友人であり、クリエイターとしての姿勢や作品を心から尊敬できる人でもあります。

川瀬さんが前作の『紫』(京都の染司・吉岡幸雄さんのドキュメンタリー)に続く、2作目を沖縄にいって撮っていることは知っていました。 「土」を求めていて、親方に出会った…、という話も折々にきいていたのですが、撮り始めてから3年。完成までに更にもう少しの時間を経て、その作品が今年の4月に公開のはこびとなったそうです。

今回、初めて親方にお会いし、お話しさせて頂く機会となりました。

流れる空気が、とにかく温かく、自然で、「映画そのまま」の方でした。

お話の中で印象的だったフレーズを書き出してみると…。

守るべき伝統と、新しい発想で常に新しくしていくものを自分で考えながら、挑戦して失敗して、また戻って…を繰り返してやっていけば良い。

陶芸家の親方なんだから、こうあるべき…という人がいるけれど、自分は今のままの「普通」が一番心地いい。

毎日の生活の中で使う器に「個人」が前面に出ない方がいい。さりげない器の方が、食べ物が美味しく感じられるから。

「自分は動かない」。何もしないという意味ではなく、自分の居るべき場所にしっかり立って、そこに来た人としっかり関わること。

「所属」はしても良いが、「依存」はしない。「自活できる方法」は常に考えておくこと。

人間関係は、出来るだけフラットに。若い人を伸び伸びとさせること。

とにかく、発せられる言葉に優しさと力強さがありました。

無印良品 有楽町 Open MUJI Tokyo「手と土と火と 沖縄のやちむん」展 | イベント | 無印良品

現在、有楽町のMUJIで開催中の展覧会ですが、親方の作品は入手困難となる位に人気があるためか、MUJIでは展示用の作品だけで、残念ながら購入はできません。

通常は、来た人に作品を買ってもらって、売上げをあげるためにこういう展示をするのだと思っていました。

それでも、MUJIが今回のトークショーや試写会を行う背景には、「やちむん」(沖縄の焼き物のこと)をつくり続ける親方ご自身やその情熱と読谷村の空気に担当キュレーターの方が深く感動して、MUJIに来る人たちに伝えたい!という熱い気持ちからではないかと思います。今回、その思いがひしひしと伝わってきました。

有楽町に行かれたら、是非、ご覧いただきたものの一つは北窯をつくった際の「企画書」です。

今から、約30年前に親方を含む4人の若者が、読谷に新しい窯をつくろうと、熱い気持ちをそのまま書き表した「企画書」。

昔の日本映画の題字のような、筆書きの表紙に、これまた墨絵のような構想図が書いてあるものです。

お金はないけれど、気持ちはある。

とにかく登り窯を、焼き物をつくりたいという若者たちを、村の人達が自然に助けてくれたというエピソードからも、「沖縄らしさ」が伝わってきました。

また、親方は窯に火をつけるという作業を、その時の一番の新人にやらせるそうです。「親方がするしきたり」のところが多い中で、何故そうさせるのかといえば。

親方曰く、「窯に火をつけるというのは、大切なしごとで、心から消えない経験です。それをきっかけに、その人が陶芸家になってくれるかもしれない。その人は親方にならないかもしれないし、親方になるまで、その経験ができないというのは、もったいない。火はどんな火でも同じ火だから」ということでした。

窯の親方としての考えが伝わって来るエピソードでした。

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北窯では、今でも「土づくり」などは、この4人の親方の窯の人たちが共同作業で行っています。でも、それぞれの親方の個性や作風は全く違って、それぞれが違うことがまた良いことであり、強みなんだそうです。

お互いの違いを認め合い、助け合い、共にものづくりをしていく姿勢は、これからのコミュニティのあり方としても参考になることが多いと思いました。

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今回のトークショーの客席には、映画『あめつちの日々』の制作スタッフの方々からもお越しでした。最後に短くお話をされていたのですが…。

音楽の明星Akeboshiさん、題字のロリレイさん共におっしゃっていたのは、「読谷に行ってみて、わかったことがあった」ということです。

普段の明星Akeboshiさんは、普段は1人で音入れをしてつくるけれど、「空気」を伝えるために、バンドとしてメンバーを集めて録音したそうです。

また、東京で映画のターゲット層をイメージしてつくったロゴ案を監督に「全然違う」と言われたロリレイさんは、現場に行ってやはり「手描き」がしっくりくると思ったそうです。そして、「陶芸の親方というと、海原雄山みたいな人だと思っていましたが、全然違いました。」という言葉に、会場も親方も大爆笑でした。

川瀬さんは、本当にその場の「ありのまま」を撮ることができる監督さんです。

親方も「某地上波の局に出た時には、顔に化粧(ドーラン)をされたし、靴も履いたり、ちょっと気を遣った(笑)。でも、川瀬さんには本当になにもしなくて、そのままでいいと言われた。初めはちょっと緊張したけれど、そのうち、いつ撮っているのかもわからない位、自然に撮影が進んだ」とおっしゃっていました。

初めてお二人が会った時も、「監督はまだ来ないの?と言っていたら、そこにいて…。イメージと違う、小さくて細い女性がいたので驚いた」とのこと。

また、川瀬さんの作品は、前作の『紫』もそうでしたが、人の心の奥に働きかけるものを持っているためか、観た人に大切なものを気づかせてくれたり、心に留まる力を持っています。「宣伝にお金をかけなくても、不思議と皆さんに声をかけていただき、それぞれの形で大切にしていただける幸せな作品」とプロデューサーの高田さんもおっしゃっていました。

そのお話をきいて、もしかすると、親方と監督の「ものづくりへのこだわり」は似ているのかもしれないと思いました。

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写真は、松田親方が大好きな場所だそうです。この城壁の上から海をみると、この海がアジアにつながっていることを感じるそうです。疲れていても、元気が湧くとのこと。

最後に、「読谷に来てくださいね。読谷で会いましょう。」とお声をかけていただきました。

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親方にお会いした、その興奮が醒めないように、書きとめておきたいとブログを書き始めましたが、是非、4月に公開される映画を是非ご覧いただければと思います。

きっと、読谷に出かけてみたくなると思います。私はすっかり行きたくなっています。

essay.tokyo

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このブログの写真の出所は、『あめつちの日々』HPです。

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