カイトチカの日記

Life Solution Energyとして、エナジャイズする記事をお届けします

元上司と陶芸をしながら、思う。

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元上司のWさん。定年を待たずに、会社を退職され、人事部長から、今は「陶芸」の道へと転身されています。

「カイトさんの独立のお祝いに器を作ったから取りにおいで」と連絡を頂いたので、お邪魔するついでに、元同僚の先輩・後輩を誘って、アトリエで器を作らせていただきました。

Wさん:「皆さんはどんなものが作りたいのかな?」

後輩:「どんぶり!」

先輩:「抹茶の茶碗!」

私:「沖縄のマカイ風のご飯茶碗!」

Wさん:「あー、うーん…。まあ、やってみるか(笑)」

一応、それぞれがイメージを持ちながら、スタートしました。

今回は初心者ということもあり、基本の手びねり(ろくろではなく、紐状の土を重ねる方法)で作ることになりました。 f:id:kaitochicap:20160320185021j:plain

土台を置いて、土がつくように刻みをつけ、ドベ(泥状の土)を塗ります。

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紐を作ります。弓状にして、向こう側に押すようにすると均一の紐が出来ます。

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それを土台の上に巻いていき、内側、外側をつなげながら、器を作っていきます。

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それを3回位繰り返して、何となく器っぽくなってきました。

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内側の厚みを手で均しましたが、口のところは不揃いです。

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道具を使って、口の高さを一定にしました。

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スポンジを使って内と外を挟んで、ろくろを手で回しながら、少しずつ形を整えます。縁は鹿革を使います。 ちょっと、それらしくなってきたところで・・・。

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日の光りが程よく入るアトリエでのコーヒーブレイク。Wさんお手製のコーヒーカップで頂きました。

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「はい、はい。まだ終わりじゃないよ」ということで、高台を作ります。

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「はい、今日のところはここまでね」というところで、出来ました。「丼〜!」

「ん?ど・ん・ぶ・・・り?」 私は確か「ご飯茶碗」を作るつもりはずだったのに・・・(笑)。

先輩の抹茶碗は、そう見えなくないけど、ご飯茶碗のようでもあり・・・。

後輩の丼は、持ち手を付けて、いつの間にかコーヒーのマグカップに変化していました(笑)。

ちなみに、神の手が入って、ここまでの仕上がりになったということは正直に申告しておきます。

陶芸の世界はそんなに簡単なものでは無かったわけですが、それぞれに皆、楽しんでいました。 この後は、神にお任せで仕上げをお願いするかと思いきや、「この際、絵付けもやりたい!」という意見多数のため、また次回お邪魔することになりました。

ご一緒した、Wさんの本物の生徒さんから「Wさんは、こんなに楽しくて可愛い(と、おっしゃっていたようなw)女性たちに囲まれて、お仕事なさっていたのですね。羨ましい・・・」などとお声がけいただき、Wさんもちょっと嬉しそうに見えました。

以前、一緒に仕事をしていた頃・・・。

私は、(自分で言うのも何ですが)決して、いつも従順な部下だったという訳ではなく、志があればこそ、時に反抗した事もありました。

人事部長という立場上、Wさんは、たくさんの人と関わって、時に自分の本心とは違う厳しいことを社員に言わなくてはならない場面もあったと思います。 どちらかと言うと、ぶっきら棒な上司。でも、ご本人は表立っては言わなかったけれど、体調を壊したり、壁にぶつかっている社員を影で支えていた事を、知っている人は知っていました。

採用のための適性検査を、当時の人事全員で受けたところ。Wさんの結果が、

「人と接する仕事よりも、技術者のように自分の世界に入って、専門性を極めるような仕事に適性有り」

という内容だったので、ご本人を含めた一同「当たってる」と思わず頷いた・・・というエピソードもありました。

その後、直属の上司でなくなってから・・・。

不思議なことに、心を許して、弱音や愚痴を言える相手でもありました。

私自身が少し大人になって、あの頃のWさんの葛藤や立場をやっと想像できるようになったからか・・・。 「部下が、本音で仕事できる環境」というのが、実は得難く、恵まれていたことが、後になってわかりました。

今思えば、それぞれの立場で、本気で「会社をもっとよくしたい」という気持ちを持つ同志だったのかもしれません。

今日、久しぶりにお会いしたWさんは、とても自然体で、魂が自由でした。

ちょっとぶっきら棒なのは、相変わらずですが、それでいいのです。

だって、陶芸家だし。

(あの時の適性検査は、やっぱり当たっていたのかもしれません。)

そもそも、メディア業界の経験が全くない未知数の私を、採用してくださったのがWさんでした。 「志の高さと情熱に賭けてみたよ」と、入社して、しばらくしてから、ボソっと教えてもらった気がします。

そうか・・・今、こうして私があるのはWさんのおかげ・・・。その節は、生意気言って、本当に申し訳ありませんでした。

こんな立派な器を頂いたのですから、これからの人生、頑張ろうと思いました。

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